はじめに


指導教授は
にこやかな顔で
言いました。
自然科学のような
ふりをしてる詩を
学んでみてはどうかね?
そんなことが
できるんですか!?
指導教授は
私の手を握って
言いました。
社会人類学もしくは
文化人類学の世界に
きみを歓迎するよ。
カート・ヴォネガット

人類学者というのは、
作家、小説家、詩人に
なりそこねた人たち
なのです。
J・クリフォード
人気ジャンル
▼平成19年度「文化人類学解放講座」前期試験答案集
d0016471_5523068.jpg【設問】
自分でこたえることのできる問題を自分でつくり、その問題に自分で答えをみつけ、それを自分で評価してください(時間無制限・複数回答可・グループでの共同制作可・メディアと表現形式は自由・自分を点数で評価しないこと)

【答案】(抜粋)
●私は自文化を絶対視し、他文化のすばらしさ、奥深さを想像できない自文化絶対主義者は、文明や技術の進化とともに退化させられていった人類のことをいうのだと思う。

●テクノロジーの進歩は人間の身体能力・思考能力を奪っているような気がする。私たちが成し遂げたことは進化ではない。変化である。文明はこの変化をもって文明たらしめてきたが、私たちが数世紀後に人間から動物へ変化しているとき、未開の人びとが地球上で唯一人間らしい生活を送っているような気さえするのである。

●文化相対主義は、権威を疑い異端をとなえ、支配と闘う抵抗的で抵抗的なものである。

●自民族中心主義は、疑問と想像を許さない。人々に服従と無知を求める。西欧諸国は、植民地支配で文化を破壊し、産業革命で自然を破壊し、帝国主義を掲げて、あらゆる生命を破壊することができた。自民族中心主義とはすなわち破壊を意味する。

●テクノロジーのなかで生きているということを意識している人はあまりいない。すでにテクノロジーが存在しているところに生まれたのだから、当たり前のことになっているのだ。

●進化とは、文明人たちが満足するために、また探究心からきたもの。そして何よりも、自分たちがどれだけ楽に人生をすごしてゆくかという、手抜きの過程である。

●「近代文明はすべて排除して暮らせ」と、いま、私に言われても、私にはそれは不可能である。しかし、本来は暮らせたのだ。人類は自らが造った近代文明によって、本来与えられていた能力を失ってしまったのだ。

●技術と戦争は表裏一体だと思います。人は銃をつくりました。大砲を撃ちました。化学兵器をつくりました。原爆をおとしました。技術が進歩すればするほど、人が人をたくさん殺すことが簡単になってゆきます。

●人間は生物の頂点に立って一体何をするのでしょう。てっぺんまでのぼってしまえば、その先には何もないというのに。

●あらゆる民族がいて、あらゆる文化があり、その数だけ異なる思想が存在する。そんななかでの変わらないものとは何だろう。いろんな文化での「いのち」の考え方をみてきたが、その考え方もたいていは「いのち」は何かとつながっているというものであるということだった。「命はつながりのあるもの」という考え方は不変なものなのである。

●ALL IS CONNECTED.

●人はみな、自分の食欲、物欲、性欲などの様々な欲望をもっている。時として、欲は理性を失わせ、本能のままに行動しろ、と我々のなかに入り込んでくる。この欲望の呪縛から我々は逃げられない。人は生まれたときから、死ぬまで野蛮なのだ。

●何で私たちは化粧品がほしくなってしまうのだろう。

●「生まれたところや皮膚や目の色で、いったい僕の何がわかるというのだろう」(ザ・ブルーハーツ「青空」」)

●私たちは不幸にも人間です。でも、私たちは幸運にも人間です。理性をもって考えることもできれば、誰かや何かの痛みを想像する力をもっています。失敗から反省し、そこから学び活かすことができます。

●我々は日々なにかに追われて生きている。娯楽にまで追われる。何がそうさせるのか?それは国家か?権威か?はたまた神なのか?答えはどれでもない。それは文化である。石田英一郎の言うところの「反支配」の精神をある程度持たなければ、いつか文化にのみこまれてしまうだろう。文化は私たちを支配する。しかし文化のなかで生かされている私たちが文化をとりあげられたらどうなるか。文化そのものを否定するのではない。現代人として必要なのはプラスの文化の側面を忘れず、反支配の学を思い出し、文化のなかで生きていくことである。

●緑が目にしみる。

●「ばかばかしいおせっかいをしたもんだ。結局、人と幸福にし、天国をつくろうとしたブンメイは必ずしも人を満足させない。おめえたちゃあ、知らねえまにブンメイという化けものの中毒になってんだ。」(水木しげる)

●[評価]8Mbps

●戦争はひとをまるで単なる単位として扱い。百、千、万と殺してゆく。それで何かを得たとしても、同様に戦争で失われる。全くの無意味である。人間は自らの習慣を大きく変える知恵を持ちながら戦争に変わるものを作り出そうとしなかった。これは単なる怠惰である。

●「原爆投下はしょうがなかった」というのは、現代の日本社会こそが望ましいものであると考える人びとの言い訳にすぎない。

●「こんなはずじゃなかっただろう。歴史が僕を問い詰める。まぶしいほど青い空の真下で」(ザ・ブルーハーツ「青空」)

●私にとっての"他"の世界、誰かにとっては"他"である私の世界。誰が決めたのか知らないけど、未開の地とかいうもの。文明、人びと、人びと、ただ単純に生きてる人びと、ややこしく生きたい人びと、人びと、人びと、私はいまなにを思う?

●人間的な考え:神との頭脳戦

●表も見たら裏も見る

●地球がなくなって喜ぶ人などいないだろ?

●[評価] 自由に問題を設定し、自分でその問題にこたえ、評価するといった試験ははじめてだったので、何をやってよいのか、よく分からなかった。

d0016471_623996.jpg●短編映画
「バベルの塔、その後」
(カラー 10分)

●CD「文化人類学」
(Ⅰ:失敗Ⅱ:成功)


●[評価] 涙1リットル分

●あと一歩で、異文化を"しょうがない"という言葉で片付けなくてすむようになれる。

●[ホラー映画に登場する文化人類学者について](性格)そこそこチキン。クールに分析するが役立たず。もっと頑張ってほしい。生き残り率30%。

●文化人類学はネオコン思想に勝てるか?勝てません。でも負けもしません。マイノリティとそれにコミットする人が常に存在するからです。

●[評価] あんこでいうと、つぶあんである。よく練られていない。

●文化人類学者は何ができるか。直接的には何もできない。映画は旅をさせてくれる。しかし、歩んでゆくのは我々であるし、目的地を見定めるのも我々である。文化人類学者は我々に旅にでるきっかけは与えてくれる。

●「悪い人たちはその土地に家を建てて子供を生んだ。そして街ができ、鉄道が走り、悪いひとたちの子孫は増え続けた。山は削られ川は死にビルが建ちならび、求められたものは発明家と娼婦」(ザ・ブランキー・ジェット・シティ「悪いひとたち」)

●[評価] あたりまえのことをあたりまえに思っているので、あなたに得点はありません。

●日本の生徒たちは発言する場をあまり持たずにきてしまう。母国語でさえ、人前に出て発言したり意見をいうことに慣れてない私たちが外国へ行って外国語で見ず知らずの外国人相手に自文化の意志を伝えることは容易なことではない。私たちはまず自分の意見や考えを人前で表現する欧米形式的な授業に転換するべきであろう。

●[評価]表現するのってやっぱり面白い。

●理解できないのなら疑問を抱けばいい。否定するのではなく、想像すればいい。いろんな立場に立って物事を考えると何が正しくて何が間違っているか分からなくなる。どれもが正しく思えてくる。そして、何もできなくなる。奪うことも破壊することも。"絶対"と思うことも。

●世界は多くの知性でごったがえしている。

●わたしたちは思考をとめない。思想も尽きない。それはあがきもがいている瞬間のつながりの間である。終着点としての"答え"というものをだしてしまったら、そこで考えることは終了する。

●「明治六年に全国ではじまった学校制度は、①先生が問題を出す、②その正しい答えとは先生の出す答えだ、という前提にたっており、 生徒自身がそれぞれ、6歳までに知っていることの中から自分で問題をつくり、答えを出すということは除外されている。もし大学まで進むとして、十八年、自分で問題をつくることなく過ぎると、問題とは与えられるもの、その答えは先生が知っているもの、という習慣が日本の知識人の性格となる。今は先生は米国。[...] 教師も、明治以前の寺小屋の気風を受け継ぐ時代から離れて、大学教育学部養成の教師たちになると、知識人共通の性格から自由ではない。[...]そのときの光背を失わずに、点数によって人を見ない運動を続けている人は、現代の中で私の知る限り、無着成恭だけである。こうした姿勢を日本の教師は、小・中・高・大を通して失った。無着成恭が僧侶になったのは、今の日本の学校に彼のいる場所がないからだ。[...]日本の大学は、日本の国家ができてから国家がつくったもので、国家が決めたことを正当化する傾向を共有し、世界各国の大学もまたそのようにつくられて、世界の知識人は日本と同じ性格を持つと信じられている。しかし、そうではない。(「鶴見俊輔「夏休みが終わって」)

では、よい夏休みを。9月にまた会いましょう。

...................................................................................................
【参考】 [昨年度の後期試験の答案]

▼文化人類学解放講座・答案解放その1
http://illcommonz.exblog.jp/4574257/
▼文化人類学解放講座・答案解放その2
http://illcommonz.exblog.jp/4574278/
▼補講
http://illcommonz.exblog.jp/4620608/
▼テストのまとめ
http://illcommonz.exblog.jp/4262485/
[PR]
by mal2000 | 2003-09-11 21:45
<< ▼平成19年「文化人類学解放講... ▼2007年前期講義のまとめ >>